子どものために引越しする公立小移民が増えている理由

公立小移民という言葉を耳にしたことはありませんか。公立小移民とは、子供のために優れた小学校を求めて引越しをする人たちのこと。

教育環境や生活環境の整った地域を求めて、子供のためだけに引越しをするという親が急増しています。

公立小移民とは

公立小移民とは、環境の優れた公立小学校を求めて引越しをする人たちのことです。公立小学校は学区ごとに環境や教育方針が変わってくるので、より良い環境を求める親が増えているのです。

でも、良い環境を求めるのであれば、私立の小学校に入学させるという方法もあるはずです。あえて公立小学校を選ぶ理由とはいったいなぜなのでしょうか。

公立小移民が増えている背景

教育環境だけを考えるのであれば、わざわざ引越しまでしなくても、私立の小学校を探して入学させれば良い話です。でも、それをせず、あえて引越してまで公立小学校に執着するのには、色々な背景があります。

家から近いのが最重要

公立小移民の親たちが考える理想は、家から近く通いやすいという条件です。

私立の小学校に通い始めると、どうしても通学はバスや電車、送り迎えなどが主流になってしまいます。その分、子供への負担や危険も増えますし、親への負担も増えます。

また交友関係にも大きな影響が出てしまいます。私立の小学校は、それぞれの家庭が離れているので、学校が終わってから一緒に遊ぶという事が簡単にできず、子供同士の交流も減ってしまいます。

あくまで普通の子供と同じように、みんなで登下校して、放課後に近所の公園で仲良く遊んでという伸び伸びスタイルの中に、整った教育環境を求めているのです。

住環境を重視

いくら教育環境の整った私立小学校に通っていても、住んでいるところの環境が悪かったら子供への影響も良くありません。また周りのママ同士と教育方針も合わず、親子ともども近隣から孤立してしまう恐れがあります。

でも、優れた教育環境の公立小学校なら、その近隣の住環境も優れているというのが一般的です。治安の良さをもちろんのこと、周りの家庭とも意見が合いやすく、親子で住みやすい環境が整っていることが期待できます。

金銭的な負担減

あえて公立小学校を選択する理由の一つに、金銭的な負担が少ないというものがあります。私立の小学校に比べて、公立小学校は入学金や授業料はかからず、給食費のみというのが一般的です。

また、田園調布小学校や青南小学校など、公立小学校にもかかわらずブランド校と呼ばれる学校もあり、わざわざお金をかけて私立に通わせるまでもなく、公立小学校でも中学受験に有利に働いてくれる場合もあります。

ただし、教育環境が整っている小学校がある区域は、不動産価格や物価も高い傾向にあるため、生活費にお金がかかる可能性もあるので、一概に金銭的に負担が減るとは言い難い部分もあります。

人気学区の特徴

公立小移民に人気の学区にはいくつかの共通した特徴があります。その特徴を詳しく見ていきましょう。

学校のレベルが高い

当然と言えば当然なのですが、公立小移民に人気の学区にある小学校は、学力のレベルが高いという特徴があります。

公立小学校と言えども、学校によって学力レベルに差があります。その差は通う小学校によって進路が決まってしまうとまで言われるほど。

子供に良い教育環境を与えたいと考えて引越しまでするのですから、必然的に学力のレベルが高い学区が人気になります。

同じ教育方針の家庭が多い

公立小移民に人気の学区には、同じような教育方針を持つ家庭が集結しています。

子供に良い教育環境を与えたい、子供の将来のためには苦労をいとわない、というような同じ意見を持つ家庭がたくさん集まっているので、話が合いやすく近隣付き合いがしやすいという特徴があります。

同じように公立小移民として引越してきた家庭も多いため、同じ境遇で協力し合うことができるというメリットがあります。一方で、ライバル意識が高い傾向にもあるので、子供の成績を巡ったトラブルも懸念されます。

治安が良い

より良い教育環境が整っている学区は、治安が良くて生活環境も整っているという特徴があります。繁華街や歓楽街などもなく、子育てに向いている環境が整っています。

居住する住民の質も高く、富裕層が多いため、犯罪率が低くて子供を安心して生活させることができます。

物価が高い

教育環境が整っている学区は、富裕層が生活している高級住宅街が多いため、不動産や物価が高い傾向にあります。

一軒家なら中古住宅でも5000万円は下らない地域もありますし、賃貸住宅でも家賃が10万円以上だったりと、富裕層向けの価格になっています。

教育を選ぶ時代に変化している

一昔前は、勉強は子供自身が考えて行うものでした。子供のために親が引越しまでして公立小学校を選ぶという事は考えられませんでした。

でも現代社会では、公立小学校の格差が広がり、同じ公立小学校と言えども教育方針が全く違うという時代に突入しました。通う小学校で将来が確定すると言っても過言ではありません。

それに合わせて、各家庭でも子供の教育は親が選んであげる時代へと変化を遂げています。子供のよりよい将来のために、公立小移民として子供の教育を確保してあげる時代になったのです。

子供のための引越しの注意点

子供たちにより良い環境を与えてあげたいと望む親心は当然のことですが、公立小移民になるためにはいくつかの注意点もあります。

子供の意見を無視しない

より良い教育を目指して親心が暴走してしまう家庭も少なくありません。まだ幼い子供と言えども、自分の意見がないわけではありません。

お友達と離れたくない、今の家から引越したくないなど、子供ながらに意見を抱いていることは間違いありません。その意見を無視してしまうことは、子供の心に大きな傷を作ってしまう可能性があります。

もちろん、子供が嫌がったという理由だけでは断念する理由にはならないかもしれませんが、子供の意見に耳を傾け、しっかりと話し合い、お互いに納得したうえで引越しをすることが大切です。

子供に無理させない

ブランド名だけで有名公立小学校に通わせたいと無理をし過ぎてしまうのも厳禁です。子供には向き不向きがあります。勉強が大好きな子もいれば、勉強が苦手な子もいます。

そんな中で子供の学力や能力に合わない学校を選んでしまうと、後々に苦労するのは子供たちです。レベルの高さに付いていけずにノイローゼ気味になってしまう子供も少なくありません。

必ず、子供のレベルに合った範囲内で学校を選択するという事が大切です。

親も無理しすぎない

有名公立小学校がある地域は、やはり高級住宅街やセレブ街が多くなってしまいます。どうしても子供を通わせたいからと言って、収入に見合わない地域を選択してしまうのも危険です。

生活費をねん出するのが難しくなってしまったり、住宅ローンを払いきれずに破産してしまったりなど、逆に子供の教育どころではなくなってしまいます。

公立小移民になるのなら、引越しをする地域が自分の身の丈に合っているかどうかもしっかりと確認して実施するようにしましょう。

まとめ

現代の日本では、学歴社会は終焉に向かっていると言いつつも、まだまだ実力社会よりも学歴社会。結局は学歴に左右されてしまう部分がたくさんあります。

そんな社会で子供が生き抜いていくために、小学校からより良い教育を提供してあげたいという親心は当然のことです。

私立小学校ではなく、あえて教育レベルの高い公立小学校を選んで引越しをすることで、子供たちにより良い教育環境と住環境を提供したいという親心が、公立小移民が急増している理由に繋がっていると言えます。